水循環型営農推進運動

概要

営農上の効果

営農上の効果 白川の河川水は、ミネラルに富んでおり、水張りをした転作田では、水張りの度に土壌中のミネラルが増えていくことがわかりました。水張りにより、地力の増進、線虫の駆除効果、連作障害の抑制も期待されることから、減農薬・減化学肥料の作物栽培が可能となります。

地下水かん養効果

熊本地域の地下水かん養量の内訳 熊本市「日本一の地下水都市」 67万市民の水道水源のすべてを良質な地下水で賄っています。 地域の特性・・・白川中流域(大津町・菊陽町)の水田は、他地域に比べ約5~10倍のかん養能力があることが判明しました。 水稲作付けの減少・・・転作田の増加 宅地化・・・農地の減少 ↓ 地下水減少の大きな要因
田んぼへの水張りの期間中は脱窒により、浸透水の硝酸性窒素濃度が低下することが観測されており、地下水の水質保全の面からも転作田への水張りは望ましいことがわかっています。転作田となった水田へ一定期間水張りを行う、白川中流域水田を活用した地下水かん養事業の実現 地下水かん養断面図

安全かつ高品質な農産物

地下水をかん養した水田で生産された農産物は『水の恵み』ブランドとして販売されています。水張りにより、減農薬・減化学肥料で生産された農産物は、白川の恵みもあり安全かつ高品質な農産物となっています。また『水の恵み』ブランドの農産物を購入することは、くまもとの水を守ることにつながります。

水循環型営農推進運動の実績

年度 参加人数(人) 実施実面積(ha) 実施延べ面積(ha) 地下水推定涵養量(万m3
平成18年度 467 261.3 388.5 1,166
平成19年度 525 315.6 474.3 1,423
平成20年度 512 346.1 545.6 1,637
平成21年度 534 358.2 559.1 1,677
平成22年度 506 356.3 550.3 1,651
平成23年度 549 408.2 629.3 1,888
平成24年度 547 403.6 487.1 1,461
平成25年度 527 416.1 572 1,716
平成26年度 473 375.9 516.7 1,550
平成27年度 445 386.6 522.6 1,568
平成28年度 138 84.4 131.1 393
平成29年度 392 354.2 449 1,347
平成30年度 380 362.3 502.5 1,507
令和元年度 366 362.7 4594 1,378
令和2年度 357 367.9 591.4 1,774
令和3年度 342 362.5 578.8 1,736
令和4年度 295 329.8 530.8 1,592
令和5年度 283 324.1 526.5 1,579
延べ面積:湛水期間1ヶ月を単位とした延べ面積 (例)1haの水田へ2ヶ月湛水→延べ面積2ha ※平成17年度は渇水による水張り中止期間がある為、延べ面積での減少がみられた。(実面積では前年度比約22%の増) ※地下水推定涵養量:白川中流域平均減水深100mm/日にて計算

助成金のしくみ

助成の対象

助成の対象
  • 白川中流域の6堰(畑井手堰・上井手堰・下井手堰・迫玉岡井手堰・津久礼堰・馬場楠堰)から取水される白川の河川水によってかんがいされる水田であること
  • 営農の一環であること
  • 夏期5月から10月、冬期11月から翌2月までの期間に実施されること
  • おおむね15日以上から120日以内の湛水であること
助成対象となる湛水の方法
  • 大豆作付け前、収穫後の湛水
  • にんじん作付け前、収穫後の湛水
  • 飼料作物(飼料用稲、飼料用米、イタリアン等)作付け前、収穫後の湛水
  • 主食用米の作付け前、収穫後の湛水
  • その他の作物(野菜など)作付前か後において実施される湛水で、推進協議会が営農として有効と認め、推奨する湛水

地下水涵養プロジェクトの仕組み

  1. 協力農家は、米・麦・大豆(人参)の営農体系を崩さず、転作作物の植え付け前、収穫後に湛水
  2. 企業・熊本市は協力農家に対して、湛水期間に応じて助成金を支払う
地下水かん養プロジェクト

水循環型営農推進協議会

概要

水循環型営農推進協議会 組織図 協力企業:ソニーセミコンダクタ マニュファクチャリング 株式会社、熊本県果実農業協同組合連合会、KMバイオロジクス株式会社、株式会社 山内本店、コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社

沿革

H15.4
白川中流域土地改良区協議会(白川中流域水土里ネット協議会)設立 (錦野・迫井手・大菊・馬場楠堰土地改良区)
H15.6
白川中流域水田で湛水事業の取り組み 協力:環境ネットワークくまもと、ソニーセミコンダクタ九州株式会社 熊本テクノロジーセンター、菊池郡大津町上陣内区、下町区協力農家
H15.10
21世紀土地改良区創造運動大賞 受賞 大菊土地改良区「水循環クリエーター」地下水かん養機能のPRが表彰される
H15.10
水循環型営農推進協議会 設立(大津町・菊陽町・JA菊池大津中央支所・JA菊池菊陽中央支所・白川中流域土地改良区協議会) 水田営農の推進、農地の多面的機能を通し、地下水涵養対策に協力
H16.1
白川中流域における水田湛水推進に関する協定 白川中流域における水田湛水推進に関する協定 締結
H16.6
日本水大賞 農林水産大臣賞 受賞 「水循環型営農運動」が表彰される 白川中流域水土里ネット協議会
H16
白川中流域水田で湛水事業 本格始動 協力:熊本市、熊本県果実農業協同組合連合会、ソニーセミコンダクタ九州株式会社
H17
白川中流域水田での湛水事業 第2期 協力:熊本市、熊本県果実農業協同組合連合会、財団法人化学及血清療法研究所、ソニーセミコンダクタ九州株式会社
H17.11
肥後の水愛護賞受賞 肥後の水資源愛護賞 受賞 白川中流域水土里ネット協議会
H18.11
肥後の水資源愛護賞 特別賞受賞 白川中流域水土里ネット協議会
H19
白川中流域水田での湛水事業 第4期 協力:熊本市、熊本県果実農業協同組合連合会、財団法人化学及血清療法研究所、ソニーセミコンダクタ九州株式会社
H19.7
第5回日本環境経営大賞 環境価値創造部門 環境連携賞 受賞 環境ネットワークくまもと、ソニーセミコンダクタ九州株式会社、白川中流域水土里ネット協議会
H20
白川中流域水田での湛水事業 第5期 協力:熊本市、熊本県果実農業協同組合連合会、財団法人化学及血清療法研究所、ソニーセミコンダクタ九州株式会社
H20.12
白川中流域における水田湛水推進に関する協定 締結 株式会社山内本店 平成21年度から湛水事業へ協力
H21
白川中流域水田湛水事業 第6期 熊本市域水田湛水事業開始 協力:熊本市、ソニーセミコンダクタ九州株式会社、熊本県果実農業協同組合連合会、財団法人化学及血清療法研究所、株式会社山内本店
H22
白川中流域水田湛水事業 第7期 迫井手地区圃場整備 協力:熊本市、ソニーセミコンダクタ九州株式会社、熊本県果実農業協同組合連合会、一般財団法人化学及血清療法研究所、株式会社山内本店
H23
白川中流域水田湛水事業 第8期 協力:熊本市、ソニーセミコンダクタ株式会社、熊本県果実農業協同組合連合会、一般財団法人化学及血清療法研究所、株式会社山内本店
H24
白川中流域水田湛水事業 第9期 九州豪雨の為、長期中断期間あり 協力:熊本市、ソニーセミコンダクタ株式会社、熊本県果実農業協同組合連合会、一般財団法人化学及血清療法研究所、株式会社山内本店
H25.2
白川中流域における水田湛水推進に関する協定 締結 南九州コカ・コーラボトリング株式会社 平成25年度から湛水事業へ協力
H25
白川中流域水田湛水事業 第10期 協力:熊本市、ソニーセミコンダクタ株式会社、熊本県果実農業協同組合連合会、一般財団法人化学及血清療法研究所、株式会社山内本店、南九州コカ・コーラボトリング株式会社
H26.1
白川中流域における水田湛水推進に関する協定 白川中流域における水田湛水推進に関する協定 締結 平成26年度から平成35年度 熊本市、大津町、菊陽町、水循環型営農推進協議会
H26
白川中流域水田湛水事業 第11期 協力:熊本市、ソニーセミコンダクタ株式会社、熊本県果実農業協同組合連合会、一般財団法人化学及血清療法研究所、株式会社山内本店、コカ・コーラウエスト株式会社
H27
白川中流域水田湛水事業 第12期 協力:熊本市、ソニーセミコンダクタ株式会社、熊本県果実農業協同組合連合会、一般財団法人化学及血清療法研究所、株式会社山内本店、コカ・コーラウエスト株式会社
H28
白川中流域水田湛水事業 第13期 熊本地震、6月豪雨災害による中断、中止地区あり 協力:熊本市、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング株式会社、熊本県果実農業協同組合連合会、一般財団法人化学及血清療法研究所、株式会社山内本店、コカ・コーラウエスト株式会社